ヒミツノハナシ(17)

2017年10月。
修学旅行を終えると、生徒たちが1番嫌がるテストが始まった。
松田は余裕を持って、前から勉強していたから多分だと言っていた。
「本当か?」なんて冗談半分で聞くと、松田は苦笑いしながら言う。
「え、大丈夫じゃなさそうなのわかる?本当は自信ないんだ。」
そういう松田の弱気な気持ちはやっぱり2年の間になんとかしてあげたい。
「松田、お前相変わらず弱気だな。お前のその弱気な感じは大学受験でメンタル押しつぶされるよ。」
ちょっと厳しいことを言ってしまったが、ここでなんとかしないと本当にしんどくなるのは目に見えている。
「うん。そうだよね。わかってはいるんだけどね。」
そういう松田の表情は、悲しい顔をしていた。
「できない自分に腹がたつ、そんな風に腹が立ってる自分が情けないと思う。できないのが悔しい。」
悲しい顔が一変して、涙を流し始めた松田は、自分の本当の気持ちをやっと吐き出した。
「しんどかったよな。こんなに頑張ってるのになんでって。お前が頑張ってることも、人一倍一生懸命なのも俺は知ってるよ。」そう言いながら松田の頭にそっと手を置いた。
しんどくてたまらないはずの松田がここまで自分の気持ちを押し殺していたなんて気づくことができなかった。
私自身も悔しくてたまらない。
そんな後味の悪い悔しさを解決できないまま11月を迎えてしまった。

Nozomi Matsuda

If you become a teacher,exceed me.

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