ヒミツノハナシ(14)

2017年6月。
梅雨入り宣言が発表されてから、来る日も来る日も雨雨雨。
なかなか晴れず、憂鬱だった。
「今日も雨だね先生。薄暗い。」
松田は私にそう声をかけた。
「雨だなぁ。うっとおしいなぁ。」と返すと「先生も雨嫌い?」と尋ねられた。
「嫌いかなぁ。」と答えた。
こんな他愛もない話で時間を使っているのは、松田自身のメンタルケアにも繋がるから、私としては嬉しい。
回転の早いスピードに、松田はついていけない。
松田の得意なところ、苦手なところを伸ばしたり。
発達障がいがあっても、松田は松田のままで、教師を目指す夢を諦めないでほしいと切に願う。
窓の外を眺める松田の目は、寂しそうだった。
涙をこらえているようなそんな目だった。
私は一体どうしたらよかったのだろうか。
そんな風に考え込む頃には梅雨が明けていた。

Nozomi Matsuda

If you become a teacher,exceed me.

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