ヒミツノハナシ(13)
2017年5月。
新学期も始まって、あっという間に1ヶ月が経った。
数学Bの教科担当をすることになった私は、早速生徒名簿に目を通した。
すると、松田の名前が書かれていた。
これで、私が授業をすることができると思うと楽しみで仕方がなかった。
「先生!!数B先生が担当なんだね!」と松田も同様私のところへ駆け寄り喜んだ。
「楽しみで仕方なかったんだよね。」と嬉しそうに話す松田を見て自分まで嬉しくなってしまった。
「数Bはちゃんと聞いとかないと一瞬で置いていくからな。覚悟しとけよ。」と冗談まじりで話す私を見て松田は「やばい!よ、予習!」と慌てふためいた様子を見せた。
「数Bは完全に新しい範囲だから多分解けねぇぞ。」というと松田の表情は一瞬暗くなったがすぐに明るさを取り戻した。
「数B教えてくれるの先生だもんね。じゃぁなんの心配もいらない!大丈夫だ!」と安堵していた。
4月末から始まった授業もリズムに乗り始め、5月末にある中間試験に向けて動き出した。
相変わらず松田の表情は暗いまま。
石川先生と山崎先生の異動がいまだに受け入れられないようだ。
そんなことを考えているうち、気がつくと梅雨入りしていた。
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