私の感情と感覚、そして生きることと死ぬこと 【5】

4.感覚

“感覚”
いわゆる自分を制御する抑制装置みたいなものだ。
痛い、熱い、冷たい、そんな人間に本能として備わった能力である感覚は、やはり人によって変わってくる。
痛いと思うものを痛いと思わなかったり、熱いものを熱いと思わなかったり。
人間に本能として備わったはずの能力は、遺伝子配列の違いや劣性遺伝、突然変異によってガラリと変わってしまう。
結局、同じ人間で、本能として備えられた能力にも差が出てしまう。
だから、十人十色という言葉が生まれた。
10人いれば10通りの考え方や感情、感覚が生まれ、それぞれが口にする言葉も変わってくる。
人間は同じじゃない。人間は異種であると私は思う。
感覚は、鈍れば鈍るほど簡単に人を傷つけてしまう。
私は、人を傷つけるのが怖いと感じる。
傷つけてはいけない人を傷つけてしまったあの日からずっと、私の感覚は鈍ることも進化することもなかった。
嫌な思いをさせてしまった相手に、やっとの思いで謝罪をして許してもらった。私はなんて愚かだろうかと、自分を嫌いになった。
まるで「私は被害者です」と言わんばかりの思考を巡らせていた私は、相手の気持ちを一切考えていなかった。
だから、こういう結果を招いてしまった。

やってはいけないことをしてしまったみたいだ。
いや、“みたい”じゃない。
やっちゃったんだ。やってはいけないことを。
ただ「言うな」とは言われなかった。
私に話したのに、他の人に話してないなんてことあるのか?
“言ってしまった”事実は消えないから、明日ちゃんと「ごめんなさい」って言おうと思ってる。
ただ、その点に関してわからないことがある。
私は、悪いことをしたんだろうか。
幸せがおすそ分けされて、気持ちが高ぶった。
本当にあの人は怒っているんだろうか。
でも、あの人はみんなにも話したんじゃないの?
私には“何が悪かったか”見当もつかない。
このままじゃ「ごめんなさい」って言った時「なにが?」って聞かれたら答えられない。
それにしても、あの人の前髪の間から見える目と、少し跳ねた“えりあし”が怖い。怖さを増してる。
元々、ちょっと怖くて、ミステリアスで怒りの沸点が見えずにいて、言葉もすごくストレートでしんどい時もあったから、なおさら今日のあの人は怖い。返す言葉も思いつかないほど、頭の中が真っ白になるほど“怖い”と感じた。あの目は“ケイベツの目”だったのだろうか。あの時、あの瞬間の、あのなんとも言えない“怖さ”が私を焦らせた。
「明日、どうしよう」考えれば考えるほど、大きな責任を負わされている気になったし、考えすぎて罪悪感が芽生えた。
あの瞬間に「ごめんなさい」と言えていたら、何か違っていたのだろうか。

どうして今
私が傷ついているんだろう


あの人のことが好きだから?
失望させたかもしれないから?
罪悪感?


──私があの人を傷つけた“凶器”ってなんだろう。


これは、私が書いた日記の内容。
人を傷つけてしまった原因はなにかと考え続けて結果、この考えが生まれた。
自分自身の発言や行動は
簡単に他人を傷つける“凶器”になる
私は、それを知り、理解した上であることを決めた。

2018年12月18日
──私はある1人の人を、私自身の行動で傷つけた。
この日私は、順調に進んでいた受験勉強に手をつけられなかった。
勉強が怖いと思うようになった。
教師になることが怖いと思った。
私が傷つけたのは、高校3年生の間最もお世話になった人。
人の気持ちをこれっぽっちも考えず、思ったこと、知っていることを口走ってしまった。
本当は、内緒にしておきたかったのかもしれない。私にだけ教えてくれたのかもしれない。
今まで、自分自身の行動で、多くの人に迷惑をかけ、失望させ、裏切った。
──そして、傷つけた。
私はこの日、人生で1番悩んだ。
苦しかった。
他人の気持ちを考えるって、こんなに難しいものなのかと知った。
そして私は12月18日を含む12月16日〜12月22日を


”他人の気持ちを考えよう週間“


として、今後忘れないようにと作ったものである。
だから、この週は思い出し、後悔し、反省し、二度と同じことを繰り返さないと決めた。


これが、私が決めた感覚や感情をコントロールする方法の一つだ。
感覚や感情のコントロールは簡単じゃない。
難しすぎて、できないことの方が多いが、やるしかない。

0コメント

  • 1000 / 1000