ヒミツノハナシ(12)
2017年4月。
新年度を迎え、異動した先生の穴を埋めるため他校から異動してきた先生方との顔合わせも終え、私は2学年に着くことが決まった。
異動してきた先生の中で2学年を受け持つのは新任の先生が多くいた。
数学科として新着任した早田先生と英語科の塚田先生、社会科の澤井先生だ。
新着任の先生方を含め総勢17人の先生方が2学年の担当になった。
4月5日。進級して新たな学年になった生徒たちが続々と登校してくる。
進級して、嬉しそうに私のところに駆け寄ってきたのは松田だった。
「進級おめでとう。松田。」
そういうと、うんと小さく頷いた後、小さな声で「石川先生と山崎先生異動しちゃったね。」
寂しいんだろうか。
去年たくさんお世話になっていた先生でもあり、なんでも相談できる仲だったらしい。
石川先生に関しては関わりが多く、仕事面ではしっかりした先生だった。
「そうだな。残念だな。文化祭はきてくれるって言ってたぞ。」
私がそう言うと、松田の表情は少しだけ明るくなった。
「新しくきた先生も仲良くなれそうだぞ。」そう言うとどんな先生?と早速食いついてきた。
やっぱり松田の中で“教師”という存在は大きいのだろう。
新年度が始まって、松田の表情は少しばかり暗かったが、数ヶ月後には明るさを取り戻すだろうと思いあまり気にしなかった。
新年度という節目は私の教師10年目という節目でもあった。
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